佐賀藩版「プロジェクトX」

 仕事納め。
 今年の締めは4次会でとうとう腐れ縁になったのらさんと新越谷で。(笑)
 帰ってきてブログを認めようとしましたが、自分でも何をどう書いているのやら??
 中断!

 年末は佐賀藩のカッコイイ話題にしましょう。
 この作家の本は初めてです。女性です。

 舞台となるのは幕末から明治の佐賀藩です。内容は、一冊のオランダ書を元に幾多の苦難を乗り越え日本初の「反射炉」を建設し、ついに西洋に負けない大砲製造に成功した鍋島藩志士の物語です。西洋人が100年も200年もかかったことを鍋島藩は数年で成し遂げます。ただ、これまでのプロジェクトXと異なっている点は、この「反射炉」の話とか、後世に代々伝えられる有名な話になっていないってことです。あぁ、ここにもやっぱり佐賀県の控えめな性格(笑)が流れているんでしょうか。

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 以下、ネタバレ部分もありそう(極力注意していますがどうしてもポロリと)なので、本を読もうと思っている人は読み飛ばしてください。

 さて「反射炉」なるものを知る人がどれほどいましょうか?まして、佐賀藩が日本で初めて反射炉による大砲を作り出したなんて知っている人はほとんどいないのではないでしょうか。私も例外ではありません。(-_-;)

 でも「反射炉」を知る前に「たたら」のことを理解できないとまずは話にとっかかれません。「たたら」って何?そう、〇もあの「おっとっと」と片足で跳ねるしぐさが「たたら」だと思い込んでいたんですが、それは浅はかでした。それらの動作も含めて砂鉄から鉄(の元)を作り出す製鉄工場そのものも「たたら」っていうんだよ、と(もちろん)飲みながら教えてくれたのは”のらさん”でした。さすが”のらさん”物知りですねぇ、と感心しきりでした。が、ググってみると一番わかりやすいところでは日立金属さんのホームページでした。なぁんだ”のらさん”生業じゃないですか。(笑)
 この本でも村下(むらげ)とか一代(ひとよ)とか出てきますが、ホームページの解説と一緒です。
 
 
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       (写真は日立金属さんのHPから借用)

 本でも「出雲のたたら」が出てきます。そういえば、”のらさん”や”△鳥さん”が出雲に出張に行かれるようでしたが、ちょっと関係が解ったような気がします。あ、そういえばジャンダルムで持ち込まれた日本酒「出雲富士」は島根からのお酒でした。ご馳走様でした。島根県安来市にある「和鋼博物館」というところに行けば、解説があるようです。また、たたら製鉄は現在でも生きており、出雲町にある”日刀保(にっとうほ)たたら”では年に数回操業されるようです。こうなったら是非見に行ってみたいものです。本でも佐賀藩士は出雲のたたらまで出張で出向き、そのすごさを目の当たりにします。


 で、やっと「反射炉」の話題に入っていけます。たたらで作られた幾種類かの鉄から長大な大砲を作るための大型炉で西洋(オランダ)で既に稼働を始めていた「反射炉」を作ることになります。
 本の中では「反射炉」の解説図面は一度も出てきません。文章からその構造を読み取らなければいけません。唯一の手がかりは表紙の漫画です。ですが、この漫画は煙突の部分しか書かれていないので、実際に鉄がどこで溶けてどうやって流れ出すかはイメージできません。そこで役に立つのはやっぱりググった図面です。これを見ると「反射炉」ってこういう構造なんだということがやっと理解できます。アーチ型天井というから煙突の先端分が天井かと思ったら違うんです。炎や熱を天井や壁で反射させて銑を溶かすんです。太陽光を凸レンズで集める原理に似ています。やっと原理は解りました。「反射炉」は佐賀藩の後にも有力藩があちこちで作りましたが、早々に反射炉の時代は終わり、現存する「反射炉」の跡は韮山(伊豆)と萩にしか残っていないようです。いつか韮山に行ってみましょうか。

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 作者は静岡市出身とのことですが、実は小学3年生まで川口市(埼玉)に住んでいたとこの事で、「キューポラの町」でなじみの鋳造業の土地柄の下地があったわけです。これで佐賀、出雲、川口の線が一本でつながりました。あはは、不思議な縁ですね。 そういえば川口で「キューポラ(溶鉱炉)」との看板が誤表示だと指摘があり修正するということですが、先のMさんの個展ではちゃんと「キューポラ(溶解炉)」という説明文になっていました。さすがMさん「俺が間違えるはずないだろう」と胸を張っていました。

 本当の疑問。なぜこんなに優秀な頭脳を持ちながら佐賀藩は活躍できなかったの?と思いますが、「佐賀藩の日和見」「勤勉実直」「葉隠魂」(城下には遊郭も賭場もなかった)が他藩にはよく思われなかったようです。佐賀県人としては非常に悔しい思いです。本当は国内の乱戦には目を向けないで広い視野で世界を見つめていたんですがね。鍋島藩素晴らしいぞ!と僕は褒めちぎります。

 ただ、佐賀県出身者としてはもっと深く深く掘り下げて(上)(下)巻ぐらいのボリュームにして欲しいと欲張ります。

 日経新聞に書評が出ていました。ネタバレになるので(すでになってるって?)隠し文字にしておきます。

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(内容紹介:Book DB)
日本人の手で大砲を造る!
幕末佐賀・鍋島藩は、オランダ渡りの一冊の専門書だけで反射炉を建設、鉄を作り大砲を製造しようとした。男たちの孤独な戦いの物語。

発売日: 2013/9/10

この記事へのコメント

テツラン
2013年12月28日 19:05
出雲のたたらのことは司馬遼太郎の本で知ってましたが、佐賀のことは知りませんでした。さすがエリートをたくさん輩出した佐賀藩ですね。この本読んでみたいです。
2013年12月28日 19:54
>テツランさん
 さすがテツランさん、出雲のたたらはご存知でしたか。
 私はたたらで大砲作れないの?と思ったりしました。

 生みの苦しみは鬼気迫るものがあります。
 私は同郷としてかなりひいき目です。
momomo
2013年12月29日 03:00
○さん、こんばんは。

反射炉って韮山が最初かと思ったら佐賀なんですね。
佐賀というと地図で場所を示せない人も多い県ですが、
なんだかんだいってすごいところなんですよね。
レン
2013年12月30日 23:05
宮崎アニメの「もののけ姫」に「たたら場」というのがでてきました。
大勢が足で踏んでふいごで空気を送って鉄を作るんです。
こちらのはもっと近代的な物なのでしょうが。

佐賀藩プロジェクト、なんだか残念でしたね。
2014年01月02日 06:50
>momomoさん
 反射炉が韮山にあったいうことを知っているだけでもすごいです。
 さすが雑学の帝王momomoさんです。
 
 佐賀と福岡と熊本の関係を地図で示せない人が多いです。(笑)
 先人はすごかったかも。(笑)
2014年01月02日 06:52
>レンさん
 なんですと?もののけ姫ですか?なるほど、今度見てみたいです。
 でもよくそんな場面まで覚えていますね。感心しきりです。
 その足踏み式が出雲のたたらそのものだと思います。
 「たたら」についてはのらさんが専門家でしたので今度聞いてみましょう。

 佐賀藩はいつも日が当たらないんです。涙!
奈良、職人
2017年10月01日 21:07
出雲のたたらといえば、海綿鉄プラントがあった所。島根の安来市の日立金属安来工場だ。見上げた存在だと、認識しています。
トンネル効果
2017年11月27日 21:22
先人ファイター達に敬礼。
刃物職人
2019年04月14日 00:17
全く、エキサイティングの心にさせますね。そこは、日立金属安来工場さんですよね。
孫六
2019年06月27日 20:37
正に、鳥肌がたつ位感動しています。安来って凄いと思いますよ